人工関節置換術とは

変形性関節症(変形性膝関節症、変形性股間関節症)、関節リウマチ、骨壊死といった病気によって、軟骨がすり減ってしまい、骨組織が破壊され、関節が変形するなどして機能を失った関節に代わって人工素材の関節に置換していく手術療法を人工関節置換術と言います。
材質としては金属(チタン合金など)が使われています。主な人工関節置換術は次の通りです。

人工膝関節置換術

人工膝関節置換術は、大きく人工膝関節単顆置換術と人工膝関節全置換術に分けられます。
人工膝関節単顆置換術は、膝にある内と外2つある関節のうち、変形が内側か外側のみに起きている場合に適応されますが、関節の可動性も悪くなく、前十字靭帯もしっかり残っているという場合に行われます。主に高齢者を対象にしています。
手術時は10cm程度切開し、変形が起きている方の関節の軟骨や骨の表面を1~2cm程度削って、大腿骨側と脛骨側をそれぞれ人工膝関節に置換していきます。

一方の人工膝関節全置換術も高齢者(多くは60歳以上)を対象としていて、関節全体に変形がみられている場合に適応となります。
この場合、膝の前面を13cm程度切開し、患部を見やすい状態にして、損傷を受けている膝関節の軟骨や骨の表面約1~2cmを削って大腿骨側と脛骨側に人工関節をそれぞれ置換していきます。
また骨と人工関節を強く固定できるよう骨セメントも使用していきます。手術時間は90分程度と言われています。

これらの手術によって、膝の痛みは除去されるようになるほか、O脚などの変形、膝の曲がりも改善され、正座もできるようになります。
術後は、直後からリハビリを行っていき、立つ、歩くといった練習を術後2日が経過したくらいから開始していきます。
なお人工膝関節全置換術では2~3週間程度で退院できるようになります。

  • 人工膝関節置換術のイメージイラスト
  • 人工膝関節置換術の術前術後

本院で行う人工膝関節置換術の特長

術後の痛み対策(関節周囲多剤注射)

関節周囲多剤注射(カクテル注射療法などと言われることもあります)は新しい手術後の痛み対策です。
背中から神経の近くにチューブを挿入する方法(硬膜外麻酔)や太ももの付け根やお尻の近くの神経に麻酔薬を注射する方法(ブロック注射)などが、これまではよく行われてきました。
関節周囲多剤注射は、これと同等かそれ以上の効果があり、合併症が少ないと考えられています。
我々もこの方法を採用してからは、手術直後の痛みが軽減し、患者様の術後リハビリテーションが円滑に進められています。

術後の合併症発生の抑制

当院では、ターニケットという血止めのバンドをなるべく使用しないで手術をおこないます。(セメント固定時の約10分だけ行います)
これにより、静脈血栓塞栓症(DVT)の頻度を減少させること、抗生剤がしっかりと浸透すること、および手術中に出血点を確認しながら確実に止血操作ができることが挙げられます。
止血をしっかりおこなうことにより術後のドレーンはいれていません。
ドレーンをいれないことにより感染のリスクが低下しリハビリがスムーズにおこうことができます。

人工股関節全置換術

変形性股関節症の進行期から末期症状の患者様に行われる手術療法で、損傷によって機能しなくなった股関節(大腿骨と寛骨臼)の代替として用いられる人工股関節に置換していく手術療法のことを人工股関節置換術と言います。
これによって、痛みを取り除く効果と歩行の改善効果があるとされていますが、人工関節には耐用年数(長くて30年程度)があるので高齢者の患者様(60歳以上)に適応となります。

これは、まず太ももの横側15cm程度を切開し、変形してしまっている大腿骨頭の部分を切除します。
そして切除した大腿骨頭に代わる人工骨頭やステムを大腿骨側に、また痛んでしまっている寛骨臼側には人工のソケットを設置していきます。
このソケットとステムを骨に固定していくことで人工股関節への置換となります。この場合も出血が多量になるので、事前に自己血輸血をしていき、手術中にその血を輸血するということもあります。
また人工股関節を固定させる方法には、骨セメントを使用する場合と使用しない場合(セメントレス固定)がありますが、最近は後者が一般的となっています。

手術時間は2時間程度、入院期間は3週間程度となります。
術後は翌日から理学療法士によるリハビリを痛みの程度をみながら行っていきます。
なお骨と金属は固定するまで数ヵ月程度かかるとされていますが、体重をかけていくことは術後間もない時期から問題ないようになります。
ちなみに術後3週間は脱臼しやすい状態でもあるので、ベッドで体を動かすといった場合は、医師などの指示に従うようにしてください。